Parasoft AUTOSAR Compliance アーティファクトは、AUTOSAR 開発ガイドラインへの準拠を直ちに証明できる、DTP インフラストラクチャのアセットの集合です。AUTOSAR Compliance アーティファクトは、あらゆる AUTOSAR 標準をサポートするために適合させることができますが、デフォルトでは AUTOSAR C++ 14 (バージョン 19.03) 用に構成されています。このアーティファクトは Automotive Compliance Pack に同梱されています。Compliance Pack のダウンロードおよびライセンス情報については、Parasoft 製品テクニカル サポート センターまでお問い合わせください。
このセクションの内容:
AUTOSAR (AUTomotive Open System ARchitecture) は、自動車エレクトロニクス、セミコンダクター、ソフトウェア業界に属する自動車メーカー、 サプライヤー、サービス提供業者、および企業から構成されるグローバル開発パートナーシップです。AUTOSAR は、基本的なシステム機能と機能インターフェイスの標準化に特化しています。これらのシステムの開発ガイダンスを提供する標準を作成および公開することで、これらの取り組みをサポートします。
Parasoft の AUTOSAR Compliance アーティファクトは、AUTOSAR ルールに対してコード解析を実行するよう構成し、AUTOSAR C++14 で定義されたレポート仕様を満たすようにデータを適合させます。AUTOSAR C++14 は MISRA C++:2008 標準の拡張であり、MISRA 標準で使用されているのと同じルール、規約、用語の多くを使用します。
ルールは以下の特性に基づいて分類されます:
ルールは「必須」または「推奨」のいずれかに分類されます。必須ルールは強制であり、AUTOSAR C++14 への準拠を主張するためには適合されなければなりません。必須ルールからの逸脱は正式に文書化しなければなりません。推奨ルールは、合理的に現実的であるとして従われるべきです。推奨ルールからの逸脱は正式な文書を必要としませんが、適切な場合は引き上げられるべきです。
ルールは「自動」「部分的に自動」「非自動」のいずれかに分類されます。AUTOSAR によると、「自動」のルールは静的解析ルールで自動的に推進可能です。「部分的に自動」のルールは手動コード レビューの支援として静的コード解析を使ってサポートできます。「非自動」のルールは、静的解析を使って合理的に支援できず、手動コード レビューなどの他の検証手段を必要とします。
標準は、静的コード解析テクノロジの制限についての仮定に基づきます。しかし、Parasoft のコード解析は、非自動ガイドライン違反につながる可能性のあるコード パターンをチェックすることができます。
ルールはターゲットに従って分類されます。
AUTOSAR ルールとコンプライアンス プロセスの詳細については「Guidelines for the use of the C++14 language in critical and safety-related systems」 を参照してください。
AUTOSAR アーティファクトは、フロー解析および Automotive Compliance Pack のライセンスが有効化された C/C++test (Standard または Professional) からのデータをサポートします。
DTP は、 AUTOSAR C++ 14 ガイドラインに対するコンプライアンスをレポートします。これは、Parasoft の静的解析で適用可能であり、AUTOSAR C++ 14 コンプライアンス レポートで有効になっています。 |
Parasoft AUTOSAR Compliance アーティファクトは、AUTOSAR C++14 の準拠を証明するために必要なドキュメントの作成に役立ちます。以下のアセットが含まれます。
これで、AUTOSAR ダッシュボードとウィジェットを追加できるだけでなく、AUTOSAR レポートにアクセスできるようになりました。
AUTOSAR ダッシュボードは、AUTOSAR アーティファクトの一部として提供されるカスタム ウィジェットを表示するように設定されています。このダッシュボードには、AUTOSAR C++14 のコンテキストでコード解析データを表示するように設定されたネイティブの DTPの ウィジェットも含まれます。このセクションの情報は「ダッシュボードの追加」にも記載されています。
アーティファクトに同梱の AUTOSAR 固有のウィジェットに加えて (「AUTOSAR Compliance ウィジェットの表示」を参照)、このダッシュボードにはネイティブの [カテゴリ - 上位 5 表] DTP ウィジェットの 3 つの実装が含まれます。これらのウィジェットは、アーティファクトに同梱の AUTOSAR C++14 コンプライアンス カテゴリを使用するように設定されています。
このウィジェットは、違反数が上位 5 の Parasoft ルールを表示します。違反エクスプローラー で違反を確認するには、[名前] 列のリンクをクリックします。[さらに表示] をクリックすると、コンプライアンス カテゴリ別の違反 レポートが表示されます。
このウィジェットは、「自動」「非自動」「部分的に自動」の分類ごとに違反の分析を表示します (「静的解析によって推進される能力」を参照)。[名前] 列のリンクをクリックすると、 Violations by Rule レポートが表示されます。
このウィジェットは、違反数が上位 5 の AUTOSAR ガイドラインを表示します。[名前] 列のリンクをクリックすると、 Violations by Rule レポートが表示されます。[さらに表示] をクリックすると、コンプライアンス カテゴリ別の違反 レポートが表示されます。
AUTOSAR Compliance アーティファクトには以下のウィジェットが同梱されています。
以下の設定を行うことができます。
タイトル | [タイトル] フィールドでウィジェット名を変更できます。 |
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Filter (フィルター) | メニューから特定のフィルターまたはダッシュボード設定を選択します。詳細については「フィルターの設定」を参照してください。 |
Target Build (ターゲット ビルド) | メニューから特定のビルドを選択します。ダッシュボード全体について選択されたビルドがデフォルトで選択されます。ビルドの詳細については「ビルド管理の使用」を参照してください。 |
Obligation (義務) | この設定は AUTOSAR Compliance - Guidelines by Status および AUTOSAR Compliance - Status ウィジェットで利用可能です。以下のいずれかを選択します:
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Target (ターゲット) | この設定は AUTOSAR Compliance - Guidelines by Status および AUTOSAR Compliance - Status ウィジェットで利用可能です。以下のいずれかを選択します:
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Analysis (解析) | この設定は AUTOSAR Compliance - Guidelines by Status および AUTOSAR Compliance - Status ウィジェットで利用可能です。以下のいずれかを選択します:
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コンプライアンス プロファイル | コンプライアンス プロファイルを指定します (「プロファイルのカスタム設定」を参照)。コンプライアンス プロファイルは、コンプライアンス レポートを生成するために使用されます。 |
各ウィジェットは、コード解析データを異なるビューで表示することで、AUTOSAR への準拠の達成を助けます。AUTOSAR Compliance DTP ワークフローには以下のウィジェットが同梱されています。
このウィジェットは、コンプライアンスの全般的なステータスを表示します。ウィジェットをクリックすると、AUTOSAR Compliance Report が開きます。
このウィジェットは 5 種類のステータスを表示できます:
このウィジェットは、AUTOSAR への準拠の達成度をパーセントで表示します。達成度は プロファイル で推進されるガイドラインの数に基づきます。ウィジェットをクリックすると、AUTOSAR Compliance Report が開きます。
このウィジェットは、個々の義務カテゴリ (すべて、必須、推奨) についてコンプライアンス ステータスを表示します
円グラフには、最大で 5 個まで、選択したカテゴリについて異なるガイドライン ステータスを表示できます:
緑 | コードが準拠しているガイドライン。 |
黄 | コードが逸脱しているが、まだ準拠していると見なされるガイドライン。 逸脱とは、Parasoft 静的解析ルールに準じてガイドラインに従っていないが、ソフトウェアの安全性に影響しないため許容範囲と見なされる状態のことです。逸脱は、抑制された Parasoft 静的解析ルールを表します。 |
オレンジ | ガイドラインを推進する静的解析ルールに違反があるが、コードが準拠していると見なされるガイドライン。 このステータスになるのは推奨ガイドラインだけです。 |
赤 | コードが準拠していないガイドライン。 |
栗色 | プロファイル で指定されたガイドラインです。ただし、ガイドラインを推進する Parasoft ルールがありません。 |
以下の操作を行うことができます。
このウィジェットは、AUTOSAR の義務カテゴリ (必須、推奨) ごとに、静的解析違反が集中している箇所を表示します。このウィジェットは、違反がレポートされた各カテゴリ内のガイドラインも表示します。最後に、各ガイドラインを推進する Parasoft ルールも表示されます。タイルの大きさは、ルールごとにレポートされた静的解析違反の数に比例します。
このウィジェットは、モデル プロファイル で確立された階層を利用して、ルール、ガイドライン、およびカテゴリを相関させます。タイル上にマウス ポインタを置くと、各ルール/ガイドライン/カテゴリに関連する違反の数が表示されます。
違反エクスプローラー で違反を見るには、ルールをクリックします。
AUTOSAR Compliance Report は、AUTOSAR コンプライアンス ステータスの概要を提供し、準拠を証明するための主要文書の役割を果たします。各ガイドラインのエントリ、その準拠レベル、逸脱あるいは再分類などを含みます。このレポートは以下のステータスを表示できます:
以下の操作を行うことができます。
AUTOSAR Compliance Report には、以下のサブ レポートが含まれます:
Guideline Enforcement PlanGuidelines Enforcement Plan (GEP) は、Parasoft コード解析ルールおよび他の情報にマッピングされた AUTOSAR ガイドラインの一覧を表示し、どのように準拠がチェックされるかを示します。 このレポートは、コンプライアンス プロファイルで指定されたデータを使用します (「プロファイルのカスタム設定」を参照)。プロファイルでは、[Compiler] フィールドに注釈を追加できます。たとえば、「エラーなし」や、計画を文書化するために適用される特定のコンパイラ設定などです。これらの注釈は [Compiler ] 列に表示されます。 [Analysis Tool] 列には静的解析ルールが表示されます。[Manual Review] 列には、コンパイラと解析ツールによって適用される自動チェックに加えて、実行される手動検証が表示されます。 Guideline Re-categorization Plan ガイドラインの義務レベルを「推奨」から「必須」に変更し、なお AUTOSAR C++14 への準拠を主張することができます。ただし、ガイドラインを「推奨」として再分類することはできません。AUTOSAR ガイドライン カテゴリを変更した場合 (「プロファイルのカスタム設定」を参照)、そのカテゴリは処理されてこのレポートに表示されます。 Deviation Report「逸脱 (deviation)」は、文書化されたガイドライン違反であり、違反が残ることを許可する論理的根拠です。Parasoft の AUTOSAR 準拠のコンテキストでは、逸脱は抑制されたコード解析違反です。逸脱がレポートで文書化され、安全性に影響にしない場合、プロジェクトは逸脱がありつつも準拠していると見なすことができます。 標準からの逸脱が文書化され、ソフトウェアの安全性に影響しない限り、コードは違反があっても AUTOSAR 準拠であることができます。逸脱とは、コード中で直接抑制されたコード解析ルール、または DTP の違反エクスプローラーで抑制されたコード解析ルールです。コード中で違反を抑制する方法については、C/C++test のドキュメントを参照してください。DTP で違反を抑制する方法については、違反エクスプローラーのドキュメントの「[優先度] タブ」を参照してください。 AUTOSAR Compliance Report で Deviation Report リンクをクリックすると、Deviation Report が開きます。 Deviations Report は、すべてのガイドラインの ID とヘッダーを表示しますが、抑制されたガイドラインには追加情報を表示します。以下の操作を行うことができます。
ビルド監査レポートメインの AUTOSAR Compliance Report はビルド監査レポートにリンクしており、選択したビルドで DTP に送信されたコード解析、テスト結果、およびカバレッジ情報にアクセスできます。また、データのアーカイブをダウンロードすることもできます。これは、定期的な監査で AUTOSAR への準拠を証明するために使用できるアーティファクトです。ビルド監査レポートは、DTP に付属する標準レポートであり、AUTOSAR コンプライアンスに固有のものではありません。 アーカイブをダウンロードするには、ビルドがロックされていなければなりません。このレポートの詳細については「ビルド監査レポート」を参照してください。 |
AUTOSAR Compliance DTP ワークフローには、AUTOSAR C++14 への準拠をモニタリングするように設定されたモデル プロファイル (「モデル プロファイルの使用」を参照) が同梱されています。このプロファイルは、コンプライアンス レポートを生成するために必要な情報を含みます (「AUTOSAR コンプライアンス レポートの表示」を参照)。コンパイラを指定するフィールドを含むほか、ガイドラインの分類と再分類についての情報を含みます。ユーザー独自の目標を達成するためにガイドラインを再分類したい場合、または独自のレポート用に追加メタデータを指定したい場合、このプロファイルを変更できます。変更は Guideline Re-categorization Plan で反映されます。
デフォルト プロファイルの複製を作成して複製を変更することを推奨します。